一番最初になりたかったのは確かパン屋さんで、その次がコックさんだった。とにかく食いしん坊で出来立てのパンが食べれるとか、おいしい料理が食べれるとか僕はそんなことにしか興味がない小学生だったきがする。

それがいつしか大人になって、小説家や映画監督やCMプランナーにあこがれていた。でもただ思っているだけで何も実現はしなかった。

大学生の頃はずっとビリヤードに夢中になっていて、これで食べていけたらな、なんてことも考えたこともあった。

今は就職をして、普通にサラリーマンをしているのだけれど、たまにビリヤードの大会があると見に行っている。

ずいぶん前になるのだけれど、たまたま地方に出張へ行った時に近くで大きな大会が開かれていた。そこには自分がビリヤードに夢中になっていたときの仲間のひとりが出ていた。

就職を期に一人やめ、二人やめ、だんだんと仲間も少なくなり、ビリヤードに夢中になるなんて、所詮社会に出る前の執行猶予だったんだなぁ、という雰囲気の中、僕もいざやめるとなったときに、そいつと話したことがあった。

「世界一になりたいと思ったことはある?おれはあるんだよね」

当時からアマチュアでは敵なしと言われていたやつで、とにかく練習の虫だったのだけれど、なるほど僕とは志が違うなと感じた記憶がある。

1試合終わって休憩室に移ったとき、そいつに話しかけた。

「まだやってたんだ?」

なんだかとてもうれしくて、そんなことを聞いてみた。

「いや、思っちゃったからね」

彼は短くそう答えてくれた。

世界を目指すというのはどの世界でも簡単ではない。
スタートラインにたつことすら一般人には許されないかもしれない。

そこに立つことを許された人間とは、どんな気持ちでいるのだろうか。
勝負してみたい!と思うことと、勝負しよう!と思うことは雲泥の差だろう。

どの分野でもいい。人間いつかは世界を目指してみたいですね。