実もふたもない話ですが、僕はもともとイベントに全く興味のない人間でした。それが、最悪の労働環境の中で仕事を続けてこれたのは、イベントの制作には、ビジネスの根本が潜んでいると感じたからです。

イベントの制作をやっていて数多くのことを学びましたが、一番大きなことは

 スケジュールを立てないと人は動かない

ということです。

このスケジュールには

・実際にどれだけの時間がかかるかを明確にして、スケジュール感覚をみにつけてもらう
・日々やらなければならないこと(To Do)を落とすことにより、仕事が着実に前に進んでいることを認識してもらう


という効果があります。

「実際にどれだけの時間がかかるかを明確にして、スケジュール感覚をみにつけてもらう」とは?

以前にも少し書きましたが、我々「制作部隊」がイベントをする時にまず行うことは、スケジュールを立てることです。

一緒にイベントを作っていくクライアントの方々は、通常業務もありますので、基本的にとても忙しく、また多くの手配物(スタッフから展示会の垂れ幕のようなバナーと呼ばれるものまで)の発注締切を知りません。それを明らかにすることから仕事が始まります。

しかし、スケジュールの役割はそれだけではありません。通常のイベントであれば、制作期間は2〜3ヶ月程度、大きいものになれば、半年、または一年以上の月日が必要となります。
それだけの時間が必要なのは大きいイベントになればなるほど、関係者の数も多くなり、そして「承認」等の作業がより頻繁に行われるようになるからです。

例えば先ほどあげたバナー(展示会等で使われる垂れ幕のようなもの)は、大きいものになると、1枚50万以上します。これにかかる時間は

・デザインラフ案提出⇒修正指示⇒修正案⇒承認
 これで大体3週間程度かかります。

・印刷依頼⇒印刷見本提出⇒印刷
 上記と一緒に進めることも可能ですが、これで約2週間。印刷だけで1週 間かかる場合もざらです。


となるとこの1項目を決めるだけで1ヶ月程度の時間がかかってきます。
当然イベントはこれだけではありません。実際にイベント制作には時間がかかるのです。

きっと他の仕事でもよくあることではないでしょうか?発注企業さんから「本当はそんなに時間かかんないんじゃないの?」と皆さんは言われてはいませんか?

行程は多岐にわたり、そして実際に時間がかかるということを関係者がみなで共有するということはとても大事なことです。それによって全員がスケジュール感覚を意識して、タスクを順序良くこなしていくことが可能になると考えています。


「日々やらなければならないこと(To Do)を落とすことにより、仕事が着実に前に進んでいることを認識してもらう」とは?

僕は趣味でビリヤードをやっています。今でこそあまりやっていませんが、始めた当初は1日8時間、1年360日以上ひたすら球を突いていました。

「ビリヤードがうまくなりたい。だけどどうすればいいんだろう?」

ビリヤードは入門書は世の中にある程度出ているのですが、マイナーなスポーツであることもあり、中級者以上が参考にするべき本はあまりありません。かといって上級者は手取り足取り教えてくれるわけではありませんので、自分独自の練習でうまくなることが求められます。

僕は「うまくなるとはどういうことか?」を考えました。
それは、「全ての球を入れて、相手に順番を回さなければよい」ということです。
では、「全ての球を入れるとは?」を考えました。
それは「苦手な球がないこと」になり、「では苦手な球は?」となって、自分が苦手とする球をなくすためにひたすら練習しました。

人間は漠然とした目標にはなかなか真摯には向かい合えません。「格好よくなりたい!」、「頭がよくなりたい!」、「お金持ちになりたい!」というだけでは、実際に何をすればよいかがあまり分らないのです。

イベントの制作、ひいては全てのビジネスで同じだと思いますが、「成功させたい!」と漠然とゴールを設定していても、物事はすすんでいきません。
そのためにやらなければいけないことをゴールから逆引きし、そしてみなで意識の共有をすることが大切なのではないでしょうか。

スケジュールを立てることはできれば新人にやらせます。抜けている項目があっても別にかまいません。実際にやらなければいけない項目は後で先輩である自分が足せばよいことで、まずは自分のする仕事が一歩一歩着実にゴールに向かうんだということを意識させることが大切だと思います。
毎日の仕事にちゃんと意義があるんだと思うことは確実にモチベーションアップにつながります。

僕は先輩に「夢に日付をいれなさい」といわれたことがあります。本当にやりたいことでも、人間はなかなか前に進めないものです。

スケジュールを守ることが大切なのではなく、ゴールに向かって毎日がんばっていこうという意識がきっと大切なのではないでしょうか。